(1)期末棚卸資産の評価方法については、どのようになっていますが。
(2)期末棚卸資産の評価方法について、会計基準の変更に伴い、法人税法が見直されるとのことですが、どういうことですか。

Q(1)改正前の制度の概要
期末棚卸資産の評価方法については、どのようになっていますが。
POINT
改正前における棚卸資産の貸借対照表価額である期末評価額の算定方法として選定できる評価方法は大きく原価法と低価法に分けられます。
原価法はさらに個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法などの8つに区分して期末棚卸高を計算することとされています。


1.法人税法上の取扱い
法人税法における期末棚卸資産の評価方法については、次の内容のいずれかの方法により取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって、期末棚卸資産の評価額としています。(法令28①一)

<税務上の棚卸資産の評価方法>
①個別法  :  期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額をその取得価額とする方法(注)

②先入先出法  :  期末棚卸資産を期末から最も近い時に取得したものから順次成るものとみなし、そのみなされた取得価額を期末評価額とする方法

③後入先出法  :  期末棚卸資産をまず前期末から成り、次に期首から最も近い時に取得したものから順次成るものとみなし、そのみなされた取得価額を期末評価額とする方法

④総平均法  :  期首棚卸資産の取得価額の総額と期中に取得した棚卸資産の総額との合計額をそれらの総数量で除いた単価で期末棚卸資産の評価額を一単位当たりの取得価額とする方法

⑤移動平均法  :  種類等を同じくする棚卸資産の取得をする都度、取得の時に有している棚卸資産と取得した棚卸資産の数量及び取得価額を基礎として算出した平均単価によって改定されたものとみなし、期末か最も近い時において改定された取得価額を期末評価額とする方法

⑥単純平均法  :  期中に取得した棚卸資産のうち単位の異なる一単位当たりの取得価額を合計し、その合計をその異なる一単位当たりの取得価額の数で除して計算した価額を一単位当たりの取得価額とする方法

⑦最終仕入原価法  :  期末から最も近い時に取得した棚卸資産の一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額とする方法

⑧売価還元法  :  期末棚卸資産をその種類等又は通常の差益の率の異なるごとに区分し、その種類等又は通常の差益の率の同じものについて、期末棚卸資産の通常の販売価額の総額に原価の率を乗じて計算した金額をその取得価額とする方法
(注)個別法以外の評価方法については、期末棚卸資産をその種類等の異なるごとに区分し、その種類等の同じものを評価単位とする。

2.会計上の取扱い
一方、会計上における期末棚卸資産の評価方法については、下の内容のいずれかの方法により取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって、期末棚卸資産の評価額としています。

<会計上の棚卸資産の評価方法>
①個別法  :  棚卸資産の取得原価を異にするに従い区分して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸品の価額を算定する方法

②先入先出法  :  最も古くも取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸品は最も新しく取得されたものから成るものとみなして期末棚卸品の価額を算定する方法

③後入先出法  :  最も新しく取得されたものから払出しが行われ、期末棚卸品は最も古く取得されたものから成るものとみなして期末棚卸品の価額を算定する方法

④平均原価法  :  取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸品の価額を算定する方法(注)平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。

⑤売価還元原価法  :  異なる品目の資産を直入率の類似性に従って適当なグループにまとめ、一グループに属する期末商品の売価合計額に原価率を適用して期末棚卸品の価額を算定する方法(注)売価還元原価法は、取扱品種のきわめて多い小売業及び御売業における棚卸資産の評価に適用される。
(注)製品等の製造原価については、適正な原価計算基準に従って、予定価額又は標準原価を適用して算定した原価によることができる。

Q(2)改正の内容
期末棚卸資産の評価方法について、会計基準の変更に伴い、法人税法が見直されるとのことですが、どういうことですか。
POINT
会計基準のコンバージェンス(収斂)を図るため、棚卸資産の評価方法から後入先出法が削除されたため、法人税法においても、所要の経過措置を講じたうえで後入先出法及び単純平均法が除外されることになります。


1.改正会計基準の概要
企業会計基準委員会は、平成20年9月26日に「棚卸資産の評価に関する会計基準(改正企業会計基準第9号)」を公表しました。
この改正会計基準は、平成15年に改正された国際会計基準第2号「棚卸資産」において「後入先出法」の採用が認められていないことを重視し、会計基準の国際的なコンバージェンスを図る観点から、選択できる棚卸資産の評価方法から後入先出法を削除することとしたものです。
改正会計基準は、平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。ただし、平成22年3月31日以前に開始する事業年度から適用することができます。

2.法人税法の改正
棚卸資産の評価について、所要の経過措置を講じたうえ、選定できる評価の方法から後入先出法及び単純平均法を除外することとしています。