(1)非上場株式等に係る贈与税の納税猶予税度とは、どういう制度ですか。
(2)-1 贈与税の猶予税額が免除されるケ-スは、どういうケ-スですか。
(2)-2 納付猶予が取り消された場合の猶予税額の納付はどうなりますか。利子税の計算方法についても教えてください。
(2)-3 贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切り替え 非上場株式等の贈与者が死亡した場合には、贈与の納税猶予はどうなりますか。
(2)-4 相続税の納税猶予との相違点など、贈与税の納税猶予特有の留意点があれば、教えてください。

Q(1)創設の内容
非上場株式等に係る贈与税の納税猶予税度とは、どういう制度ですか。
POINT
経営承継相続人が次の後継者(経営者の親族)に納税猶予対象株式を一括贈与するばあいには、相続税の猶予税額が免除されるとともに譲与税の納税も猶予されます。なお、相続税の納税猶予を受けていない場合にも、一定用件を満たせば、贈与税の納税猶予が受けられます。

A
認定譲与承継会社(中所企業における経営の承継の円滑化に関する法律12条1項の経済産業大臣の認定を受けた非常所会社で一定用件を満たす会社を言います。以下同じ)の代表権を有していた被相続人から、その親族で一定の要件を満たす者(以下「経営承継相受贈与」といいます。)に、その保有する認定譲与承継会社に係る非上場株式等の全部(贈与前から即にその経営承継相受贈与が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分を上限とします。
以下「特例受贈与非上場株式等」といいます。)の贈与をした場合には、その特例受贈与非上場株式等の贈与に係る贈与税の全額について、その贈与者の死亡の日までその納税が猶予されます。

Q(2)-1  猶予税額の免除
贈与税の猶予税額が免除されるケ-スは、どういうケ-スですか。

POINT
相続税の猶予税額の免除と同様
①会社が破産等した場合
②納税猶予対象株式の時価が猶予税額を下回る場合です。ただし、②は時価との差額分の免除となります。

A
その経営承継相受贈者が特例受贈与非上場株式等を死亡の時まで保有し続けた場合又はその贈与者が死亡した場合には、猶予税額の納税が免除されます。
このほか、経営承継相受贈与(5年間)経過後における猶予税額の納付の免除は、次の通りとなります。
①特例受贈与非上場株式等に係る会社について、破産手続開始の決定又は特別精算開始の命令があった場合には、猶予税額の全額の納付が免除されます。
②経営承継相受贈者と一定の関係を有する者以外の者へ保有する特例受贈与非上場株式等を一括して譲度対価又は譲渡時の時価のいずれか高い額が猶予税額を下回るときは、その差額分猶予税額の納付が免除されます。
③猶予税額が免除されない場合
①及び②の場合において免除するとされる額のうち、過去5年間に経営承継相受贈者及びその者と生計を一にする者に対して支払われた配当等に相当する額は、免除の対象となります。

Q(2)-2  納税猶予の取り消しと利息税の納付等
納付猶予が取り消された場合の猶予税額の納付はどうなりますか。利子税の計算方法についても教えてください。
POINT
経営承継相受贈者が代表者ではなるなどの場合納税猶予が取り消され、利子税と併せて納税することが求められます。

A
①経営贈与承継期間(5年間)内に、経営承継相受贈者が代表者でなくなる等、その認定の取消事由に該当する事実が生じた場合には、猶予税額の全額を納付しなければなりません。

②経営贈与承継期間経過後において、特例受贈非上場株式等の譲渡等をした場合には、特例受贈非上場株式等の総数に対する譲渡等をした、特例受贈非上場株式等の数の割合に応じて猶予税額を納付します。

③その他、継続届出書を税務署長に提出しなかった場合、担保の変更に応じなかった場合等には納税猶予の期限が確定し、猶予税額の全額を納付します。

④利子税の納付
猶予の取消しにより、猶予税額の全額又は一部を納付する場合には、贈与税の法定申告期限からの期間に係る利子税(年3.6%)を併せて納付しなければなりません。

⑤担保の提供
贈与の納税猶予の適用を受けるためには、猶予税額に相当する担保を提供しなければなりません。
その際、特例受贈非上場株式等のすべてを担保に提供した場合には、その価額がその猶予税額に満たない時であっても、猶予税額に相当する担保が提供されたものとみなされます。

⑥継続届出書の提出
経営承継受贈者は、経営贈与承継期間内は毎年、その後は3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければなりません。

⑦租税回避行為への反応
そのた、次のような租税回避行為に対しても規制措置が設けられています。
(イ)贈与前3年以内に経営承継受贈者及びその者と一定の関係を有する者からの現物出資又は贈与により取得した資産の合計額の総資産に占める割合が70%以上である会社に係る株式等については、本特例を適用しません。
(ロ)経営承継受贈者の贈与税等の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為に対応するための措置が講じられます。

Q(2)-3  贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切り替え
非上場株式等の贈与者が死亡した場合には、贈与の納税猶予はどうなりますか。
POINT
受贈した非上場株式等を相続等により取得したものとして他の相続財産と合算して相続税額を計算しますが、一定用件を満たせば、相続税の納税猶予額の適用を受けることもできます。

A
①非上場株式等の贈与者が死亡した場合の僧族税の課税特例
経営集計受贈者に係る贈与者が死亡した時には、引き続き保有する特例受像非上場株式等をその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算することとしています(新措法70の7の3)。

②非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予
①の場合における経営承継受像者は、相続又は遺贈により取得したものとみなされた特例受像非上場株式等について、相続税の納税猶予制度の適用を受けることができます(新措法70の7の4)。

Q(2)-4  その他の留意点
相続税の納税猶予との相違点など、贈与税の納税猶予特有の留意点があれば、教えてください。
POINT
後継者の適用要件が別途、定められているほか、相続時精算課税との併用が出来る点に留意して検討していく必要があります。

A
①経営者が相続税の納税猶予の適用を受けていない場合
後継者(経営者の親族)が、一括で自社株式の贈与を受けた場合には、その後継者の贈与税の納税が猶予(贈与前から後継者が即に保有していた議決権株式等を含めて発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分)されます。
なお、贈与税の納税猶予制度は、経営者が相続税の納税猶予が適用を受けていない場合も利用(平成21年4月1日以降の贈与から適用)できます。

②後継者の適用要件
贈与税の納税猶予制度における「後継者の適用要件」は、次の通りです。
(イ)会社の代表者にあること
(ロ)先代経営者の親族(注)であること
(注)「親族」とは、6新等内の血族(甥、姪等)、配偶者、3新等内の姻族(嫁婿等)をいいます。
(ハ)20歳以上であり、かつ、役員就任から3年以上経過していること
(二)後継者と同族会社で、発行済完全議決権株式総数の50%の株式を保有し、かつ、同族内で筆頭株主となる場合(1つの会社で適用されるものは1人)

③贈与税の納税猶予制度と相続時精算課税制度と併用
後継者が、贈与税の納税猶予制度の適用を受けている場合であっても、後継者を含む推定相続人は相続時精算課税制度を利用することが出来ます。
たとえば、経営者が、発行済完全議決権株式総数の3分の2を超える株式を保有している場合に、納付猶予の対象外となる株式を相続等精算課税により贈与を受けることが可能です。