(1)企業再生税制の適用要件が緩和されるとのことですが、企業再生制度とは、どういう制度ですか。
(2)企業再生制度の適用要件は、どのように緩和されるのですが。

Q(1)改正前の制度の概要
企業再生税制の適用要件が緩和されるとのことですが、企業再生制度とは、どういう制度ですか。
POINT
資産の評価換えが強制される会社更生法と同様、民事再生法の再生計画認可の決定等又はこれに準ずる再建計画で債務免除が行われた場合、評価損益の計上及び繰越欠損金のうち青色欠損金等以外の期限切れ欠損金の優先利用が可能となっており、再建中の税負担が軽減されています。

A
会社更生法による法的整理が行われる場合、同法によって資産の評価換えが強制され、含み損及び含み益のある資産について、適正な評価による評価損益を計上して債権放棄の額などが決定されるため、実現に資産を売却して損失を確定させなくても債務免除益以外のいわゆる期限切れ欠損金との控除も可能となっています。
また、民事再生法の再生計画認可の決定等又はこれに準ずる再建計画(適正な資産評定に基づく貸借対照表を基礎として債務免除額が定められていること等一定の要件を満たすものに限ります。)の合意があった場合には、債務者である法人について、次の措置が講じられています(法法25,33、法令24、法法59、法令117)

①その有する資産の評価益の額又は評価損の額を益金の額又は損金の額に算入する。
②1の適用を受ける場合には、繰越欠損金のうち青色欠損金等以外の期限切れ欠損金を優先して控除(債務免除益等の額を限度)をする。

Q(2)改正の内容
企業再生制度の適用要件は、どのように緩和されるのですが。
POINT
債務免除を行う者の対象範囲に「地方公共団体」を加えるなどの要件緩和をすることによって、企業再生制度等の使い勝手を向上させることとしています。

A
1.中小規模再生特例の創設

(イ)一定の債務処理に関する計画に係る要件の見直し
資産の評価損益の計上及び青色欠損金等以外の繰越欠損金の優先控除の対象となる「一定の債務処理に関する計画に係る要件(民事再生等の法的整理に準ずる私的整理)」について、次のとおり見直しが行われます。
(a)適用対象の追加
株式会社地域力再生機構が関与した私的整理を適用対象に加える。
(b)免除主体の追加
2以上の金融機関等の債務免除要件について、一方の債務免除の当事者に地方公共団体(地方公共団体が債権者となっている第三セクター等)を追加する。
(c)債務免除要件の緩和
債務免除要件について、自己に対する債権の現物出資を受ける場合(DES)についても債務免除があった場合と同様の取扱い(直接の債権放棄には応じにくい金融機関にとって再生制度の使い勝手の向上)とする。
(d)専門家関与要件について、中小規模再生の場合には、関与すべき専門家の人数の最低限度を2人(改正前:3人)とする。

(ロ)資産の評価差額の引き下げ
評価損益の計上対象となる資産について、中小規模再生の場合には、資産の評価差額の最低限度が100万円とされます。

(ハ)中小規模再生
中小規模再生とは、有利子負債の額が少額(10億円未満)である企業再生をいいます。

2.金銭債権の評価損計上対象資産への追加
評価損の計上対象となる資産の範囲に債権が追加されることとなります。(新法法33)
3.過去の仮装経理による減額更正額の還付制度への変更
仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除・還付制度について、会社更生法の規定による更正手続開始の決定等の事実が生じた場合に仮装経理法人税額の還付を請求することができることとするほか、還付の方法等について所要の規定の整備が行われます。(新法法70、134の2)